女王様御用達。
「……」
レースさんは、ポチが持ったその本を見つめ、何かを考えているようだった。
「……なんでしたら、見ますか?」
「え?」
ちょっとうれしそうな顔をするポチ。
これはいわば国からバケモノとして祭り上げられた証拠。
どんな本よりも当事者の記録は参考になるに違いない。
「私は、あなた方の手伝いが出来るなら何だってしたいの」
でも、彼女は僕の方を見た。
「クロ君には刺激が強すぎるかもしれないけど」
…たしかに、レースの一家の歴史ならば楽しいものではなさそうだ。
「大丈夫」
「そう。だったら、役立てて」
彼女の笑みはあまり幸せそうな笑みではなかった。
うわべだけ、そんな感じ。
ポチがパラっとページを見つめる。
「あの、読むなら日が出ている時の方が」
次の瞬間、ポチは床に倒れた。
「ポチ!?」
本とともに挟んであった写真が舞い上がり、床に飛び散る。
木の根のように手と足が生えたもの。
腹部がないもの。
目が顔中にあるもの。
毛むくじゃらのかたまり。
……おそらくすべてが赤ん坊らしきその画像は、倒れたポチ中心に広がった。