女王様御用達。
「人間でも、足が多かったり、指が多かったり、目が多かったりする子供が生まれることがある。自然発生的にな」

「……おう」


ポチは次の日には目が覚めたが、精神的なショックが大きかったらしい。

何か食べたらものを吐きそうだと朝食をとらなかった。

そして三分の一程度書いたノートの前に向かって貰う。


しかし、彼は鉛筆を握っても、何も一言も書いてない。



「だが、おそらくレースの一族の場合はそうじゃない。明らかにそうさせる何か要因がある」


「どういう要因だ?」


「病気的な遺伝的な要因……かなとか少し考えた。あまりに一族が短命だからな」



机に向かったものの、昨日の写真が頭から離れないのか集中して字が書けないらしい。


ふらふらと鉛筆が紙の上を揺れる。


「薬剤や放射能とかだと、外の野菜や木とかに変異が大量にあらわれると聞くが、それは見られなかった」

茎がやたらぶっとい花とか、ねじれた木の実とかは見られない。


「何代にも影響させる力だ。もしもその要因が環境にあるのなら、同じ環境にいる僕たちにも、いや、何の耐性がない僕たちだからこそ何か変調が現れてもいい頃だ」


「今からかもよ?」


「その可能性も正直無くもないが……それなら監視兵たちも似たような環境だ。奴らはいつも同じ顔ぶれのようだし」



僕は窓から外を覗く。

迷彩服の破れ方が同じ人間がいつも同じ位置にいる。

近い位置でずっと見守ってきた奴らにも影響が無いわけがない。



「まあ仮に遺伝の問題でも片づかない点があるんだけどな」



「何だよ」

「写真あるが、見れば早いが」

「……死亡写真?」

「ああ」

「説明で」

ポチは即答だった。

本当に耐性がない。

僕はため息つき、そして口にする。



「人間のものとは思えない、かぎ爪のついた細長い腕がついているものがあった」


< 61 / 296 >

この作品をシェア

pagetop