女王様御用達。
ポチは大きく息を吐いて、頭をぐしゃぐしゃにする。
物語の方向性に迷っているらしい。
仕方ないと思う。
本当にレースの先祖は、バケモノだったのかもしれない。
そんな考えに至ってしまうのだから。
正直僕も分からなくなっていた。
実は、シルルク国の絵本もある程度正しいのではないか。
そう思えてきた。
確かに、それから遠い血縁であるレースを今も隔離しているのはおかしい。
だけど、その当時の先祖が当時の人間達に相当な恐怖を与えたのだとしたら。
でも、小さな鏡に自分を映し、三つ編みの先に髪飾りをつけるレースさんは笑顔で僕に接してくれる。
「クロ君、似合う?」
花よりも満面の笑顔のレースさんが可愛らしかった。
「可愛いですよ」
「良かった」
青い花飾りはポチが買ったものだ。
優しい笑顔で、鏡を何度も見つめ花の角度を直す。
「花飾り、いいなぁと思ってたんだけど。なかなか買えなくて」
それは、国が作った差別によるものだろう。
「可愛いからとっとこうかな。傷ついちゃったらもったいない」
「使ってあげてください。町でレースさんを見かけても、あいつには判別する能力が無いんです」
「へ?」
「僕も、そこらへんにいた鼻水垂れ流しの子供とよく間違われるんですよ。木の棒もって、黒髪の坊ちゃん刈りなら僕だと覚えているみたいで」
僕は渋い顔をする。
「……馬鹿なんです。あいつ。もー」
くすくすくすくす。
彼女は口を押さえて笑う。