女王様御用達。
ポチはレースさんの名前を呼びながら必死で扉を叩いていた。
確かにこれだけ騒いで出てこないのはおかしい。
『ち、ちょっと待って!!』
何か本人相当焦ってる。
尋常じゃない。
まさか、中に兵士が?
「どうしたんですか、レースさん」
レースさんは、たまにあ……とかう……とか苦しそうだが、それ以上語らない。
脅されている?
部屋の中でガチャンと、ガラス状のものが何か割れたようだ。
「……ポチ、扉ぶち破るからちょっと離れろ」
『待って!!』
部屋のドアがカチャリと開いた。
中から漏れる強い香水の香り。
裸にシーツらしき布を纏っただけレースさんが、残念そうな顔で現れた。
「……レースさん?」
僕たちは、暗闇に浮かぶ白い肌に硬直した。
「ごめん、私、全裸で寝る癖があって」
さすがのレースさんも、笑顔で対応してくれなかった。
「着替えてました」
「さっき、何か音がしましたが…」
「慌ててシーツ引っ張って、香水落としたの」
「「ごめんなさい」」
僕らはいたたまれない気持ちになって頭を下げた。
「大丈夫ですか?」
「何が?誰も来なかったけど?」
うわ、見たこと無いくらい不機嫌。
「ごめん。私、寝起き悪くて。十分寝たいのですが」
「「ごめんなさい」」
彼女はいつもの明るさ無く、パタンと自分の部屋に戻った。
白い肌の映像が、僕の脳みそを奪い、思考を完全停止する。
ポチは、いいものを見たと言わんばかりに満面の笑顔だ。
「無事でよかったな」
お前はなんて輝く笑顔をするんだよ。