秋霖のビ
うるさいビニール袋から、缶ビールを三本。抱えた脚の前、砂の上に並べてみた。

ビニール袋は丸めて縛って、ポケットに入れたのに、音が止まない。缶ビールの上に次から次へと、雫が落ちてきているのだ。

今度は弾くように。カツカツと。

私は聞こえないふりをして、濡れた頭を膝に埋めた。

自分の肌を伝う冷たい水は、上から下へ。溜まることなく流れていく。

それでもほてりすぎた夏の肌は、その暑さを忘れられずにいた。

やっぱりうるさい。

仕方なく、並んだ缶ビールの真ん中に手を伸ばす。濡れた缶はツルっとして、底には砂を沢山つけていた。

きっと、これを飲んだら……

プシュッと小さな泡を噴いた缶ビールは、思いの外冷えていた。
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