秋霖のビ
ふぅと一息ついて、あたしに渦を巻く虚しさが全て、違う、ちょっとでもいいから出ていってくれる事を願う。

最近は日が暮れるのが早くなってきた。厚い雲で覆われた暗い空は、さっきよりもさらに暗くて。

黒いロングカーディガンを着た私を、小さくなった私を、隠していくようだった。

それでもここを動けずにいる。

夏の気配を失った浜辺さえも、私はまだ愛しくて。

水辺を走る濡れた小麦色の肌を、濡れた少し長めの髪も全部、この水玉は鮮明に映し出すんだ。

暑い季節をこの長い雨は、寒く冷たい季節に連れていく。

いつの間にかシトシト降り出した、嫌な雨。静まり返った辺りが余計に腹立たしくて、二本目に手をかけた。

海はさらにうねり、もう違う季節だと告げている。

わかってる。わかってるけれど、止まない。


.
< 4 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop