イチゴの気持ち ~イチゴ達のラブストーリィ~

今日は、県大会壮行会の練習で、楽器を体育館に運ぶ日だ。


こんなに朝早く登校することはない。


生徒のいない校舎はなんだかシーンとしていて教室もいつもと違って見えた。


体育館に行くとボールのバウンドする音とキュッキュッという靴の音が聞こえた。


ガラガラ…扉を開けると春哉の姿があった。


先生が春哉に声をかける。


「いつも自主練えらいな。ちょっとステージに楽器置きに来たんだ。気にしないで練習してくれ」

春哉は頷いて、ドリブルの練習やシュートの練習をしていた。


春哉の汗が体育館から入る日に光って見えた。


ゴールリングにはじけ飛ばされるボールを、何度も追って、何度もシュートをうつ。


春哉のバスケは決してうまいとはいえない。けれどボールと一生懸命な春哉の気持ちは一体になっているように見えた。
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