眠れる森




「・・・・・なぜ、ガウルが片割れだと気付いた?」




まだ違和感が残ってるのか、心臓辺りを擦りながら訊いてくるシヴァに、少し申し訳なく言った




「一瞬だったけど、戦闘中かすかに双方から同じ魔力と雰囲気を感じたから」




───!!





ガウルとシヴァが顔を見合わせる




「無意識だと思うから、気付かないのも仕方ないよ。
ただ、お互いが他とは違う信頼感を持ってるのは分かるから、気を付けないとね!
少しでも敵に感付かれて策を見破られたら、その策は失敗。
策の失敗は致命傷。

結果私の仕事が増える!」




可愛らしく言った、仲間を想っての言葉。
それが伝わったのは、クリアの雰囲気から






「なぁ、お前家は?
純血と属性だけでは、見当も付かない…」




突然生家を訊いてくるガウルに、クリアは胸が大きく打たれた

動揺を表に出すまいと、目を離さないようにするので精一杯





ジっと真っ正面から見つめ、深くため息をつく様に息を吐く





「私の名前はクリア。
それ以上でも以下でもない」




その答えは、シヴァの顔にシワを生んだ





この世に生家を語らない人は少ない。
どんなに貧しかろうが、どんなに裕福だろうが家に誇りを持ち、語りたがる。




だから家を語らないクリアに、何かあったのか?
と、詳細を訊こうと口を開いた横からシルクが口を挟んだ





「1つの干渉を許せば、その行為は広がる。
…俺を含め、ここの兵にはそれぞれ事情がある者もいるんだ。

だから、悪いけど深い干渉はなしね」





ガラッと雰囲気が変わり、肌から伝う威圧感




威圧感と言っても、嫌にならない

だが、反論なども出さない。








< 16 / 29 >

この作品をシェア

pagetop