突然の幸運
そう言いながら僕は茜を抱き上げて歩きだした。


「セツナっ!私歩けるよ。大丈夫だよ」


茜が慌てて言ったが僕はいたずらっぽく笑い


「ダメ。僕が茜とくっついていたいから」


今離れたらきっと恭子のことを考えるだろう


これ以上あんな顔見たくないんだ。


「うっ…」


あっ、言葉に詰まってる。


茜は僕の肩に顔をうずめるように抱きついてきた。


拒否しないでいてくれたことがとても嬉しい。


それに抱きつく仕種が愛らしくて「かわいいね」と言ってしまった。


抱いたまま家に帰り、リビングのソファーに茜を下ろした。


茜は少し不安そうな顔をしていたけれど、外も暑かったしと泣かせちゃったから水分が必要だろう。


「ちょっと待っててね」


そう言って僕は荷物を持ってキッチンへ行った。


荷物を片付け、茜にお茶の準備をした。


「茜にはちゃんと話すって言ったけど…ホントに嫌われたらどうしよう……」


……そんなことになったら……


「……ぜってぇ赦さねぇ」


あの女……


セツナの周りには黒い空気が出ていたがはっとしたように引っ込めた。

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