みどりちゃんの初恋

「みどりちゃんは?みどりちゃんは何出るの?」

「あたしはね――」

「ちょっとそこの二人。見つめ合ってないで早くこっち来てよ」

 飛んできたのはちぃの不機嫌丸出しの声。そそくさと席に戻ったあたしとハヤシっちは、机に広がる紙に目を遣った。

 それには、見易いように書かれた球技大会の種目や順位ごとの得点が記されていて。

 数字の部分はヒロっちの文字で、あとは全部ちぃの字。

 書道何段だか忘れちゃったけど、やっぱりちぃの字はキレイ。だけど、その字に負けず劣らずのヒロっちもすごい。

 一通り説明を受けてから、あたしとハヤシっちの役割について。

 球技大会って言っても、ありえないくらい盛り上がっちゃう我が高校――私立英明高等学校は出店まで出ちゃう。

 だから、その出店をやってくれるところを押さえるのがあたしたちの仕事。

 あとは用具の確認と足りないものの補充。

「――ということで、よろしくね」

 区切り良くちぃが話をまとめたところで球技大会の話は終わった。

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