抱きしめたい



どんな女より優しくて思いやりに満ちていて、どんなに寂しくても笑ってくれて、触ったり放って置いたりしたら壊れてしまいそうで……



「…藍希」


いつの間にか、姫野と呼べなくなっていた。



気付いたんだ。


あいつらの言うとおりだった。




「藤井君…?」


「藍希…」



そのままそっと抱き寄せた。



「ぁ…………」



「藍希……好きだ」



「藤井…君……」




藍希の手が背中に回る。



「……涼って呼んで」



「…うん」






空には、虹が出ていた。


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