初めての…
「涼君!」




昼休み、いつものように屋上で待ち合わせる。



藍希が人目を気にするので、いつもここで話すようにしていた。



「藍希、身体は大丈夫?」



あの日ずっと雨の中待っていた所為で、藍希は体調を崩していた。



「うん、お医者さんには安静にしろって言われたけど、出てきちゃった。」



「無理したらダメだよ、無理なら無理でメールしてくれれば行くから。」



「大丈夫大丈夫!!あ、それより、昨日の見たよ!」



昨日……


あれか。



「あぁ、別に良かったのに…」



「涼君、声綺麗なのね。びっくりしちゃった。」



「そんなことないよ、メンバーの方がずっと上手い。」



少なくとも明よりは上手いと思うけど。




「何年間やってるの?」


「1年半かな…」


「……楽しい?」


「…………。」



はっきり言うと、テレビ出演とかは楽しくない。


楽しいのは、メンバーと話す時間だけだ。




「あ…ヘンなこと聞いちゃってごめんね、ただ、涼君……




あんまり楽しそうじゃなかったから…」


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