「藤井!!!」


数学の授業中だった。


俺の嫌いなタイプの教師だ。



「聞いてるのか?!昨日もこんな調子だったぞ?」


「すいません。」



周りの目もだんだんと冷たくなっているが分かった。


当たり前だ。


有名だとはいえ転校して1週間、こんなにも授業態度が悪かったら、嫌われるのも当たり前だ。



そのときだった――。


「…事務所入ってるからって、調子乗ってんじゃねぇよ…。」



自分の中で何かが切れるのが分かった。


俺だってあんな事務所入りたくて入ってるんじゃない。



母親が喜ぶから入っただけだ。


もういない母親が……



「っ、ざけんじゃねぇよ!!!!」


ほざきやがった男子の胸倉を掴んだ。


小さな悲鳴が聞こえた。



「俺だってあんな…!!何にも……何にも知らないで…!!!」


気付いた時には、その男子を殴り飛ばして教室を出ていた…。



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