恋口の切りかた
その冷笑が苦笑に変わるのを確認してから、


「俺もあんたに聞きたいことがある」


俺は雨の中から、軒下にいる遊水を見据えた。


「……なんだ」


俺は息を吸った。
どうしても聞いておかねばならない質問だった。


「あんたは──彼女の素性を知ってんのか?」


知っている。
こいつは知っているハズだ。
知っていて、鳥英を弄んでいるだけだ。

あんな所を見られた後にするような話ではないが、鳥英から手を引かせる。
それが──鳥英を守るために、今俺に出来る唯一のことだ。
彼女の思いには応えられない俺が、彼女のためにしてやれることだ。

そう決心して、俺は遊水の言葉を待って──


そして


「何なんだ、突然。話を逸らそうってのかい」


雨の向こうで、遊水はそう言った。
苦笑気味なまま。


「彼女の素性がどうしたってんだ?」

「……おい」


ぞっとした。


「嘘だろ……知らないのか?」
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