恋口の切りかた
それを合図に、子分たちが動いた。

匕首を構えた男が二人、刀を手にした男が二人、俺と隼人に斬りかかってくる。

「半分任せる」

ぼそりと隼人に囁いて、俺に向かってきた二人の獲物を両手の刀で弾き飛ばす。

十人以上を二人で迎え撃つ。
これが屋外の広い場所で、相手が全員腕に覚えのある浪人などであればまた話は変わってくるのだろうが、同時に打ちかかることのできる人数が限られる狭い屋内、相手がただの渡世人であれば、はっきり言って俺一人でも全く問題にならない人数だ。

一人の首筋を峰打ちし、もう一人のみぞおちには刀の柄を思いきり叩き込んでやった。

隼人の様子をちらりと見ると、匕首でかかってきた相手の腕を片手で捻り上げたまま、もう一人の刀を器用にすいと避けて峰打ちを決めていた。

よそ見をしている間に、今度は三人が同時に俺に向かってきた。

二人が先に刃物で斬りつけてくる。
同様に両手の刀で相手の獲物を弾こうとするが、初動が遅れたせいで今度はがっちりと刃を合わせる形になった。

俺の両手が塞がるのを待っていたように三人目が刀を振り上げて──

俺は足下の敷居に下駄のかかとを素早く一度叩きつけ、振り下ろされた刀の刃に向かって、足を蹴り上げる。


刃物同士のぶつかる硬質な音が響いた。
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