恋口の切りかた
「なんだァ!?」


下駄の爪先から出現した刃で刀を弾き飛ばした俺に、男が目を見開いて頓狂な声を上げた。

俺と刃を合わせたままの二人も、驚愕した様子で俺の下駄をぽかんと眺めて、


その一瞬で、

獲物を跳ね上げ、二人に峰打ちを食らわせて、


俺は刀を飛ばされたまま固まっている男のスネを、爪先から刃物の飛び出した下駄の歯で蹴飛ばしてやった。

ちなみに俺が今はいているのは、歯を含めて裏側は鉄で補強が施されている鉄下駄だ。

骨の折れる感触が返ってきて、男がもんどり打って転がる。


「おい! 何なんだよ、そのアブネー下駄は!?」

そちらも更に二人を片づけていた隼人が、俺のほうを見て頬を引きつらせた。

「おう、鬼之介の奴が作った改造下駄だ。いいだろ、コレ」


そう言って、俺は再び下駄のかかとを敷居に叩きつける。

ジャコン、などという音を立てて、爪先の刃が下駄の中に収納された。


かかとを一度叩くと刃が飛び出て、もう一度叩くと引っ込む仕掛けになっているのだ。


「いつもそんな物騒なモンはいてウロウロしてたのかよ、この坊ちゃんは」

隼人が引きつった顔のまま俺のそばまで歩いて来て頭を押さえた。
< 1,142 / 2,446 >

この作品をシェア

pagetop