恋口の切りかた
「おっと、出番だ。頼むぜ用心棒」

霧夜が片手で懐の匕首を引き抜きながら、私の肩を叩いた。

って、いくら屋内でもちょっと数が多すぎるよう!

私一人ならどうとでもなる気がするけれど、霧夜を守りながらというのはキツいかもしれない。

そんなことを考えていたら、

「と言っても、本気でヤバくなったらいつでも逃げな」

霧夜は私の耳元でそう囁いた。

びっくりして振り仰いだ私に、霧夜は優しい目で苦笑いをして、

「悪かったな、こんなことにつき合わせちまって」

と謝って──


突っ込んできた男の刀を匕首で受け止めた。


私は動きが止まったその男の背中を、刀を抜き様に斬り上げる。

声もなく体を仰け反らせて、男が畳の上に倒れた。


「逃げたりしない……!」

私は霧夜を庇うように刀を構えて立ちながら言った。

「霧夜のことはちゃんと助ける」

目だけ動かして霧夜を見ながら言うと、霧夜が驚いたように少し目を見開いた。


この人は、悪い人じゃない、と思った。

もちろん約束だからと言うのもあるけれど、私自身がこの人を助けたかった。
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