恋口の切りかた
しかし、嘘や間違いではなかったようで、
続いて隣の座敷で襖が踏み倒される音がして、人相の悪い大勢の男たちが飛び込んできた。


兵五郎は一瞬、呆気にとられた顔をして、


「構わねェ! まとめてやっちまえ!」


と、ヤケクソ気味に怒鳴った。

たちまち目の前で、渡世人同士の乱戦が始まり、

私たち三人の注意もそちらに逸れた──


──瞬間、

近くにいた渡世人が、雄叫びを上げながら刀を突き出して突っ込んで来て、


私の反応が遅れた。


「留玖!」

他の者と刀を合わせていた円士郎が叫んで、


「危ねェ!」

霧夜が私を庇って腕を引っ張った。


畳の上で数歩たたらを踏んで振り返り、



視界に飛び込んできたのは、

私の代わりに刀で頭を刺し貫かれた霧夜の姿だった。
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