恋口の切りかた
「いやぁああああっ」
私の上げた悲鳴に、円士郎がびっくりした表情になる。
私は無我夢中で、霧夜を刺した男を斬り倒した。
刀が刺さったまま、霧夜がうめいて座敷の床の間に手を突く。
私は大急ぎで駆け寄った。
散切りの髪がうつむいた顔を隠してよく見えないが、刀は右目に突き刺さっていた。
私の体が、氷水を浴びたように冷たくなる。
暗くて傷の深さはわからないが、あんな勢いで骨のない目の位置を長刀に貫かれたら、脳に達して致命傷になっていることは明白だった。
「やだ! 死んじゃ、やだよ!」
この人は悪い人じゃないのに……!
渡世人でも、私のことを助けてくれて、気遣ってくれて、本当は優しい人なのに……!
「霧夜!」
必死に叫ぶ私に、兵五郎の子分が襲いかかってきて──円士郎がそれを斬った。
「留玖! そんな奴のことなんか放っとけ!」
冷たく言い放つ円士郎に、私は泣きながら訴えた。
「エン! 霧夜は、蜃蛟の伝九郎に酷い目に遭わされそうになった私を助けてくれて、逃がしてくれたんだよ! 霧夜がいたから、私は無事でいられたんだよ!」
「え……?」
円士郎が驚愕の表情を浮かべた。
それなのに、私はこの人を助けてあげると約束したのに、逆にまた救われて、
守りきることができなかった──。
霧夜を見下ろしてポロポロ涙をこぼしていたら、くくっと小さく笑う声がして、霧夜が片手を伸ばして私のほっぺたを優しく撫でた。
「あーあ、またこんなに泣かせちまって……ごめんなァ」
私は何も言葉を返す事が出来なくて、
霧夜の手をぎゅっと握って泣き続けて──
私の上げた悲鳴に、円士郎がびっくりした表情になる。
私は無我夢中で、霧夜を刺した男を斬り倒した。
刀が刺さったまま、霧夜がうめいて座敷の床の間に手を突く。
私は大急ぎで駆け寄った。
散切りの髪がうつむいた顔を隠してよく見えないが、刀は右目に突き刺さっていた。
私の体が、氷水を浴びたように冷たくなる。
暗くて傷の深さはわからないが、あんな勢いで骨のない目の位置を長刀に貫かれたら、脳に達して致命傷になっていることは明白だった。
「やだ! 死んじゃ、やだよ!」
この人は悪い人じゃないのに……!
渡世人でも、私のことを助けてくれて、気遣ってくれて、本当は優しい人なのに……!
「霧夜!」
必死に叫ぶ私に、兵五郎の子分が襲いかかってきて──円士郎がそれを斬った。
「留玖! そんな奴のことなんか放っとけ!」
冷たく言い放つ円士郎に、私は泣きながら訴えた。
「エン! 霧夜は、蜃蛟の伝九郎に酷い目に遭わされそうになった私を助けてくれて、逃がしてくれたんだよ! 霧夜がいたから、私は無事でいられたんだよ!」
「え……?」
円士郎が驚愕の表情を浮かべた。
それなのに、私はこの人を助けてあげると約束したのに、逆にまた救われて、
守りきることができなかった──。
霧夜を見下ろしてポロポロ涙をこぼしていたら、くくっと小さく笑う声がして、霧夜が片手を伸ばして私のほっぺたを優しく撫でた。
「あーあ、またこんなに泣かせちまって……ごめんなァ」
私は何も言葉を返す事が出来なくて、
霧夜の手をぎゅっと握って泣き続けて──