恋口の切りかた
何もない、綺麗な与一の背中に、


うっすらと赤い入れ墨が浮かび出る。


淡い紅色から、見る間に入れ墨はその色を鮮やかな真紅へと変えて──



「目ン玉ひん剥いて、ようく見やがれ!」



芝居がかった言い回しで与一が朗々と声を張り上げ、皆に背を向ける。



行灯と蝋燭の明かりに照らされて、

衆目の前に真っ赤な化け物──鵺が姿を現した。
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