恋口の切りかた
馬鹿な。

冬馬には、神崎が訪ねて来ても町廻りの連中は動かさないようにと念を押しておいた。

どうして帯刀がここに──!?


これで兵五郎を捕まえられて、町方に手柄横取りされたんじゃ、堪ったもんじゃねえぞ……!


戦慄する俺をよそに、若い与力は十手を抜いて振りかざし、ひっ捕らえい! と命じた。


たちまち辺りは騒然となる。

何しろこの場にいるのは白輝血の連中だけではなく、虎鶫の銀治郎一家も混ざっているのだ。


俺は兵五郎一家じゃねえだの、嘘をつくなだの、そんな喧噪が飛び交う中、

ハッと気づいてみれば、当の兵五郎の姿は忽然と消えていた。
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