恋口の切りかた
「貸しにしておいてやるよ」


臆面もなく二代目の鵺に言い放った男に、与一はあきれた。


「は! この俺に恩を売るのが目的とはな!
こいつはまた──嫌な相手に借りができたモンだぜ」

美貌の侠客は苦虫を噛み潰した顔で遊水を睨んだ。


さすが操り屋。相変わらず、一石でしれっと二鳥も三鳥も仕留める男である。

あの時、屋敷で去り際に今回は操り屋として動くと言っていたのはこのことだったようだ。

確かに留玖を助けるのに協力してくれた形でもあるし、うまくすれば俺たちと与一、両方に恩を売る形となる。


「気に入らねーな」

俺は不機嫌に言って、与一に向かって刀を突きつけた。

「エン!?」

びっくりした声を出す留玖に視線を送り、

「てめえの説明じゃ、蚕糸って野郎はその試しとやらのために、留玖の身を危険にさらしたってことだろうが!」

俺は与一に怒鳴った。
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