恋口の切りかた
私は全身の力が抜けそうになった。


隼人が──勝った。


人を斬った経験がなくても、

真剣勝負をしたことがなくても、



彼は勝ったのだ。



「おい! 隼人!」

円士郎が声をかけて


うっすらと、隼人が目を開けた。


「俺は……生きて……いるのか……?」


隼人がかすれた声を出した。


「ああ、生きてる! あんたの勝ちだ……!」


円士郎が隼人の目を覗き込んで大きくうなずいた。


隼人が苦痛の声を漏らしながら身を起こそうとして、円士郎が慌てて「動くな」と言った。

「すぐに医者が来るからな。あんたはこのまま大人しく寝てろ」

「俺の……俺の左腕はどうなってる?」

喘ぐように、隼人が言った。

「やっぱ……切り落とされてるか……?」

「左腕?」

問われて、円士郎は裂けた袖が特にどす黒く染まっている彼の左腕を見た。

「ひでえ怪我だけどよ、ちゃんとくっついてるぜ。止血も施してあるから心配すんな」

隼人の顔に一瞬だけ驚いたような色が浮かんで、

「あの子は……どうした? おつるぎ様は……?」

再び必死に口を動かして隼人は私のことを尋ねた。
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