恋口の切りかた
与力の神崎は、すぐさま逃げた兵五郎と捕まったまま居所の知れないお玉という人の捜索のために同心たちを手配し、

私たちには番所まで同行して事情を聞かせろと言ったのだけれど、


遊水と与一はいち早く姿をくらませ、
円士郎はあっさり拒否したものだから、


神崎の額には青筋が浮いて、今にも噴火寸前の火山みたいになっていた。


隼人のことは駆けつけてきた医者に任せ、私と円士郎が店を出たところで、

外から店を見張っていたという鬼之介が現れて、

「おつるぎ様は渡世人の男と中に入って行くし、町方の役人は現れるし、渡世人たちはお縄になって連れて行かれるし、いったいどうなっているのだ?」

と混乱した様子で円士郎に文句を言った。

「お玉殿はどうなった? 貴様が言ったように、人質の隠し場所に伝令役が走る様子はなかったぞ」

どうやら円士郎は、私とお玉という人が別の場所に捕まっている可能性まで視野に入れて、白輝血の一家に乗り込む前に対策をとっていたらしかった。

やっぱり円士郎はいざという時に頼りになるなあ、と私は思って……

隼人がかけてくれた言葉を思い出した。
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