恋口の切りかた
せっかく円士郎は私のことを助けに来てくれたのに、
私が霧夜──もとい与一を庇って刀を向けてしまったせいで、またギクシャクしてしまって

私は再会してから円士郎とろくに言葉も交せていないことに気がついて、悲しくなってしまった。


「宗助はどうした?」

円士郎は、やっぱり私とは話をしようとせずに、鬼之介にそう尋ねて、

「ああ、奴なら……店の裏からコソコソと出てきた男の後を追ったぞ。あの顔は貸元の兵五郎だとか言っていたな」

「なに!?」

円士郎は目を見張って、よし、これで行方がつかめるなと喜んだ。

「ま、だいたい予想はついてるけどな」

円士郎はそんなことを言って、


私たちは屋敷へは戻らずに鬼之介の長屋へと向かった。
< 1,209 / 2,446 >

この作品をシェア

pagetop