恋口の切りかた
「奴は逃げる気なんざなくて、天照を使って俺たちに報復する気らしいぜ」

円士郎がそう言って

陽が高くなりつつある空を見上げて、与一が顔をしかめた。

「なら、今日は大人しく屋内に閉じこもっておいたほうがいいかもな。いい天気になりそうじゃねえかい」

口調や声だけは、兵五郎の店で聞いた鵺のものだった。

へえ、と円士郎が眉を上げた。

「『天照』って言っただけで何のことか通じた上にその口ぶりかよ。
焼死事件のからくりについて、あんた詳細を知ってるのか」

「まさか!」

与一は苦笑して、

「兵五郎を探ってた俺が今日まで行動を起こすのを控えてたのも、そのカラクリがわからなかったからよ。

俺にも驚きだったがな。
兵五郎の野郎、意外と用心深くてねェ、虎鶫の一家を焼き殺してるカラクリがどんなものなのかについては、なんと誰にも教えてなかったのさ」

人気女形の口から渡世人の事情に精通したセリフが飛び出すのは、なんだか変な気がした。

「だから俺も、そのカラクリを把握するまではと下手な行動が起こせなかった。
このコを人質に使ったのを見て気が変わったけどな」

そう言って、与一は私のほうを見て微笑んで──
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