恋口の切りかた
そうして、


私たちは今、明るい日差しの降り注ぐ晴れ渡った空の下、

真昼の城下をぶらぶらと歩き回って──




──人気のない通りで足を止めた。




キラキラと、立ち並ぶ家々の瓦が眩しく輝いている。


目の前に、混乱に乗じて店から姿を消した白輝血の貸元、兵五郎がにやついた顔で立っていた。


「かかったな」と言って、私の横で円士郎が負けじとほくそ笑んだ。

私たちのそばには、再び墨染めの着物に散切り頭という侠客姿をした与一もいる。



三人で町を歩き回って、逃げた貸元をおびき出すというのが、円士郎の作戦だった。



まんまとその作戦は成功し、兵五郎は誘いに乗ってきたわけだけれど──



私の目は、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべた兵五郎の背後に佇むものに釘付けになっていた。
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