恋口の切りかた
【円】
宗助から聞かされた、兵五郎の向かった先は、俺の予想していたとおりで
奴にこのまま逃げる気はなく、天照を作った者と接触して俺たちに報復しようとしていることを俺は確信した。
兵五郎が一家をつぶされた復讐の標的にするとしたら、二代目の鵺である与一と、実際に手下を斬っている俺や留玖だろう。
そう考えた俺は、
自分たちをオトリにして、兵五郎をおびき出すことにした。
もっとも、
俺は留玖にはこんな役などさせたくなかったのだが、留玖は自分もオトリになると言って頑として譲らず、
仕方なく三人で城下をウロウロ歩き回り、刻限が真昼の九ツにさしかかった頃──
狙いどおりに、貸元は俺たちの前に姿を現した。
周囲は人通りも少ない、民家の並ぶ通り。
高く昇った太陽の光をはね返して、家々の屋根がキラキラと光をまいている。
「よォ、待ってたぜ」
俺が口角をつり上げて言ってやると、
兵五郎も、三十がらみの蛇のようなその顔に貼りついた笑いを深くして、
「これはこれは、おそろいで手間が省けやしたねえ」
と、耳障りな声で言って、背後を振り返った。