恋口の切りかた
円士郎から剣を教わっていなければ、私はあの冷たい雪の大晦日、村を襲った盗賊たちに殺されていた。

翌朝、円士郎が私を助けてくれなかったら、家族に捨てられてきっとのたれ死んでいた。

円士郎と出会ったから、
円士郎がいたから、
彼に守られていたから、
私は今日まで生きてこられた。


だから、


今日ここで
円士郎を守って死ねるなら、それでいいやと思った。

私の命を彼のために使えるのなら、構わないと思った。


でも、

突然、志津摩が現れて、
鏡を倒して、
狐面を取り押さえて

死の炎に包まれて燃え上がったのは、白輝血の兵五郎で──

それは屋根の上の鬼之介の仕業だとわかったけれど


一瞬前まで死ぬ覚悟を固めていた私は、
信じられない気分で、燃えていく兵五郎をぼうっと眺めていた。


そうしたら、


後ろから円士郎に引き寄せられて、ふわりと彼の腕に包まれた。
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