恋口の切りかた
円士郎の腕が、私の頭を彼の胸に押しつけて、

円士郎の体温が伝わってきて

急に、放心していた頭が現実に引き戻されて、胸の中に温かい感情がこみ上げた。



一昨日は拒絶したその温もりに顔を埋めて、
私はきゅっと、円士郎の着物を握って


「苦しいよ……エン」


私を抱き締める腕の力があまりに強くて、息もできなくて声を漏らしたら、彼の腕が少しだけ緩んだ。


それから、


「なんて真似するんだよ、ばかやろう……」


私の耳元で、円士郎が囁いて



私は初めて、彼の体が小刻みに震えていることに気づいた。
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