恋口の切りかた
俺は急いで、
留玖を抱き締めて彼女の視界を遮って、



青白い炎と
橙の炎とが、

男の体を包む。


草水に濡れた男の全身は瞬く間に燃え上がった。


けたけたと、自ら放った火に焼かれながら男が笑い続けている。


俺たちは身動き一つできずに、

笑いながら燃えてゆく男を眺めていた。


炎はまるで罪人を焼く地獄の業火の如くに、
凶行に手を染めたカラクリ発明家の体を焼き尽くし──



やがて、
城下を吹く風と
俺たちの耳の奥にだけ
その笑い声を残して

名も知らぬ男は真っ黒な焼死体となって転がった。
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