恋口の切りかた
「やはり──」


鬼之介が歯噛みした。


「え? どういうこと?」


私はポカンと、
眩しい光に照らされたまま、ちっとも燃え上がらない材木を見つめた。


すると
ややあって、ようやくブスブスと、黒い煙が立ち上って材木が焦げ始めた。



「この天照では、瞬時に人を燃やすような火力は得られない」

「何ィ!?」

鬼之介の言葉に円士郎が声を上げた。

「何だそりゃ!? どういうこった!?」

「どうもこうもあるか!」

鬼之介は青白い顔でわめいた。

「確かにしばらく光を当てていれば、対象が燃えるがな、屋根に仕掛けられた天照とは雲泥の差だ!
こんなもので狙われたからと言って、すぐさま命を落とすなんてことは有り得ん!」

「はァ──!?」

円士郎が脱力した様子で、あんぐり口を開けた。

「なんだよ、じゃあ……失敗品かァ? 大騒ぎする必要なんか、なかったってことかよ」

私も急激に体の力が抜けていくのを感じた。


うう……それじゃ、
死ぬ気でエンの前に飛び出した私の覚悟っていったい、なんだったんだよう。


恨めしい気分で、私はムシロのかけられた二つの死体を睨んで、



「なんだこれは!」

鬼之介が哄笑を上げた。
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