恋口の切りかた
「ははははは! するとボクは……なにか?

できそこないの天照に焦って、
侍として剣を振るうのでもなく、
カラクリに頼って、
それも他人の作った仕掛けを使って

殺す必要の無かった人間を、殺害したというのか──!」


「お……おい、鬼之介?」

円士郎が慌てた様子で、笑う鬼之介に声をかけた。


狐の顔の男が、鬼之介に向けて残した言葉が蘇って

私は薄ら寒い感覚に襲われて──



笑いながら顔を覆った鬼之介の肩に手を置いたのは、遊水だった。



「手段がどうであれ、俺を助けようとしたお前の行動は、侍としてのものだったろう?」

鬼之介が、引きつった笑いを浮かべたまま、遊水を見た。

「たとえあのとき、命の危険がなかったとしても、その行動に俺は救われた。感謝してるぜ」

緑色の瞳で真っ直ぐに鬼之介を見据えて、彼はそう言った。
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