恋口の切りかた
「まさか──」


風佳の様子を観察するようにじっと凝視していた青文が、愕然とした目で空の湯飲みを見つめて


「吐け!」

と、俺に向かって怒鳴った。


「え?」


意味がわからず、何を言われたのかと思って俺はぽかんとなる。


「今すぐ、胃の中身を吐き出せ!」


青文はいつにない切迫した様子で俺に叫んで、


「失敬、ちょっといいですか」


蒼白になって立ち尽くしている風佳の腕をつかんだ。


「ちょ……何しやがる!? 風佳に無礼な真似は──」

俺は青文を止めようとして、





風佳の袂から、

ぽとぽとと、何かが落ちた。





「これは?」


風佳の腕をつかんだまま、

青文が道に落ちた小さな赤い紙包みを拾い上げて、翠玉のような瞳で風佳を見据えた。
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