恋口の切りかた
部屋の障子を開けて、留玖を中に引き込んで、障子を閉めて

「エン……っ?」

小さく声を上げる彼女の唇を奪って、柔らかい感触を感じながら細い体を抱き締めた。

何度も唇を重ねるうち、自制が利かなくなる。

「やっ……あ……っ」

留玖が漏らした弱々しい声で、彼女の着物の中に滑り込ませていた手を止めてハッとなった。

「やっぱり……抵抗しないんだな」

震える吐息を漏らして耐えるような素振りを見せている少女を見つめて、俺は奥歯を噛んだ。

「俺に恩義を感じているからか? だから、何をされてもいいと──」

「ち……違うよ……」

留玖は慌てたように首を振った。

「あの……前にも言おうとしたんだけど……嫌じゃなくて……」

言いながら、留玖の顔が真っ赤になって、

それでも必死な様子で、留玖は俺を見上げて言った。

「恩義じゃなくて……エンのことが好きだから──だから……」

留玖は、俺を誘うような甘い声で、

「何されてもいい……」

恥じらうように視線を逸らしながら囁いて、きゅっと、紅の花弁のような唇を噛んだ。
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