恋口の切りかた
私も、一人で練習するよりは稽古相手が欲しかったし、円士郎から結構な使い手だと聞かされていたこともあって、この海野清十郎という美青年と立ち合ってみたいと思った。

二つ返事で承諾して、

月光の下、
私と清十郎は木刀を手に、向かい合って立った。

清十郎がこちらを見据えた。

鳥肌が立つような、冷たい気迫に満ちた目と視線が合って──


「参る」


薄い唇が動いて低く言って、


鋭く激烈な打ち込みが来た。

素早くいなして──


木刀が触れ合った瞬間、

返ってきた手応えから自然と私の唇の端が吊り上がった。


男の膂力を生かした重い剣。

女相手だというためらいも手加減も、微塵も感じさせない剣撃だった。


求めていた感覚を、久々に得たような気がして、


相手の隙をつき、私も反撃に転じる。


互いに何度か攻防を繰り返して、

ふと──私の顔を見た清十郎が怯えたように動きを止めた。


──?


疑問が頭をよぎるが──

その瞬間を逃さず打ち込んだ私の剣が若者の木刀を飛ばし、

私は相手の喉元に切っ先を突きつけた。
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