恋口の切りかた
屋敷の自分の部屋に戻って、稽古着から寝間着に着替えて

眠る前にとにかく円士郎に青文のことを伝えなければと思って


彼の部屋の前まで行ったけれど、
どう説明したらいいのかわからなくて、中に声をかけることができなかった。

刻限はもう真夜中を回っている。

円士郎は既に眠ってしまっているのか、行灯の明かりが消えた障子の向こうは真っ暗だった。


円士郎との勝負だけでは物足りなくて
黙って夜に外出を繰り返していたなんて──自尊心の高い彼に言えるわけない。


なんでこんなことしてたんだろう、私。


円士郎が凄く大切にしてくれていたのに、

清十郎に無理矢理あんなことされて……


思い出したら、
また体が震えて、悲しくて、涙がこぼれた。


「留玖……?」


いつの間にかしゃがみ込んでいた私は、頭上から降ってきた声に顔を上げて、

部屋の障子が開いていて、目の前に寝間着姿の円士郎が立っていた。


「どうしたんだ!?」


私の顔を見た円士郎は驚いた様子で私の肩をつかんだ。


「なんで泣いてるんだよ、留玖」
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