恋口の切りかた
私は慌てて目元を袖で押さえた。

「なんでもない……」

「ンなワケねーだろ」

心配そうに私を見つめる円士郎の瞳をまともに見返すことができずに下を向いた。

そうしたら円士郎に抱え上げられて、

「お前、何してたんだよ? 体冷え切ってるじゃねーか」

部屋の中に私を入れて、すとんと畳の上に下ろして、

円士郎は羽織を掛けてくれて、その上から私をぎゅっと抱いた。

温かい手がそっと頬の涙を拭いてくれる。

「なあ、どうしたんだよ留玖」

円士郎の腕の中で温もりに包まれてそう訊かれて、

「お前が大事なんだ……何があったのか、話してくれ」

そんな風に言われて、


「ごめんなさい──」

もう黙っていることができなくて、
私は泣きながら、これまでのことを全部彼に話してしまった。


「何だ、そりゃ……!?」

話を聞いた円士郎は、私の顔をまじまじと覗き込んで

見る見るその顔が怒りの表情になった。

「ふざけんな!」

円士郎が激昂して怒鳴るのを聞いて、私はがたがた震えた。


「ごめんなさい……エン、黙ってて……ごめんなさい」


私は恐怖と戦いながら、もつれそうになる舌で謝った。
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