恋口の切りかた
円士郎から初めてこんな感情を向けられて、

戸惑いつつも
胸がしめつけられるように円士郎のことが愛しくて、

「うん……消して、エン」

ぎゅっと目を閉じて、私は円士郎にすがりついた。

首筋を、温かい口づけが伝って、
そこに残っていた清十郎の感覚を消していって

「お前は俺のものだ、留玖」

円士郎が囁いて、

「うん……!」

私は夢中で頷いた。

「俺の女だ──」

「うん……!」

円士郎がもう一度唇を重ねてきて、
体の芯がとろけてしまうような優しい口づけをしてくれて──


凍えていた心と体が彼の温もりで溶かされていくのを感じながら、部屋の中でしばらく無言で抱き締め合った。

やがて私を抱いたまま、円士郎がくすっと笑った。

「お前、あんなに怖がりなのに……一人で夜出歩くのは平気だったのか?」

「だって、お化けが出るのは夏でしょう? この季節だったら怖くないもん」

「そういうもんなのかよ」

円士郎が言って、二人で笑って、

「でも今晩はここで寝るか?」

円士郎がニヤッとした。
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