恋口の切りかた
部屋に戻りながら、

昨日よりもずっと
さっきよりもずっと

円士郎のことを好きになっていることに気づいた。


いつも円士郎は私のことを幸せにしてくれる。

どんなに冷たく凍ってすかすかになっても、私の心を温もりでいっぱいにしてくれる。



「私……エンのお嫁さんになれたらいいのにな」



ふと、誰もいない廊下を歩きながらそんな呟きが口からこぼれた。



「エンのお嫁さんになりたいな……」



途端に、止まっていた涙が溢れた。



そうだったんだ……と思った。


私、ずっと……そうなりたかったんだ──。



どうして──

どうして──


どうして私、こんな恐れ多いことを──



それでも、たった一つの望みなのに。

たった一つだけ望んだことが、こんな許されない内容だなんて──
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