恋口の切りかた
【円】
留玖から話を聞かされて──
正直、俺は衝撃を受けた。
俺が日々の稽古で留玖に対して無意識に手加減していて、そのために勝てなくなっていることを彼女はちゃんと悟っていた。
当然だよな……。
彼女ほどの者が気づかないはずがない。
俺のこの問題が、まさか彼女と海野清十郎との密会を招くとは──。
何とかしたかったが、留玖を傷つけたくないという無意識の思いは制御が困難だった。
次の日、
とにかく青文には
会って話をしたいと内密の書状を送って、
俺は久々に道場を訪れた鬼之介と、カラクリと心の一方は抜きの手合わせをした。
俺と鬼之介の稽古を見た門下生たちが感嘆の声を漏らして、
「むう……おつるぎ様と円士郎様、宮川殿の三人はさしずめ鏡神流の三羽烏(さんばがらす)というところですかな」
などと言い交わす横で、俺は鬼之介を睨み据えて訊いた。
「なあ、鬼之介。お前の目には俺と留玖、どちらが強いと映る?」
俺との立ち合いの前に留玖とも勝負して、強かに打ち負かされていた鬼之介は
「おつるぎ様だな」
と間髪入れずに答えた。
「しばらく会わないうちに、彼女は随分とまた腕を上げたんじゃないのか?」
それは──
清十郎との稽古の成果──ということだろう。
俺は「そうか」と頷いて自分の手元に目を落とした。
「しかしそれでも貴様は、彼女と十回勝負をして十回とも負けるような腕ではないと見るがな」
と鬼之介は不可解そうに言った。