恋口の切りかた
「おいおい……! ちょっと待てよ」

俺は思わず声を上げて、

「そうだな」

と、帯刀はあっさり頷いた。


「俺は異人の血を引く子供の賊の話を知っていたし、その子供が成長していればちょうど御家老くらいの年だということも知っていた。

その上、金の髪をした異人の血を引く男が結城家の嫡男の周りに実在しているのも目にしている。

更に言えば──海野清十郎のもとに御家老の情報をもたらしたという手首に罪人の刺青がある男というのは、例の御家老が襲撃された事件で逃げたという者だろう。

その時に素顔を知ったのだとすれば、つじつまも合う。

新参者の世迷い言と片づけるには真実味がありすぎる話だった」


帯刀は淡々と言って、


「だが、仮にあの家老見習いのガキの言葉が真実だとしても──俺は『元』町奉行所の与力だ」

と俺のほうを軽く睨みつけて言い放った。


「そこで闇討ちなどという手段に訴えようとする姿勢が気に食わん。

奸臣だと言うならば、正々堂々不正を暴いて裁きを受けさせればいい。だから断ったまで」


そう語る帯刀から、青文は視線を隼人に移した。

「俺は──その見習いのガキの言葉とやらが真実だってことを知ってますけどねえ」

緑の視線を向けられた隼人は強ばった表情で、

「でも、だからって今さら闇討ちに手を貸したりしませんって!」

何だか必死な様子で言った。
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