恋口の切りかた
「奥にやればこのような話が来る可能性があった。

無論、普通ならば留玖にとって悪い話ではないが──お前との約束があったから、儂は書状で奥には出仕させるなと止めようとしたのだ」


親父殿は溜息を吐いた。


「そこまで考えが及ばなんだか、この愚か者が。

こうなった以上は、もうどうにもならん」


「冗談……だろ……?」


声が震えた。


留玖──


少女の笑顔がちらついて、


「かわいそうだがな。留玖は側室として殿のそばに上げる」


親父殿は厳しい顔で俺を見つめて、繰り返した。


「諦めろ、円士郎」
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