恋口の切りかた
目を見張って俺を見つめていた留玖が、畳に目を落として、

引き絞るような悲鳴に似た嗚咽が、彼女の喉から漏れた。


震える細い手がいつものように俺の着物に伸びて、すがるように、必死に俺の袖の端をつかんだ。


俺は彼女の手を握りしめて──


「頼みます……父上」


その自分の手がやはり震えるのを感じながら、

言葉をなくしたようにこちらを見下ろしている親父殿に頭を下げた。




「留玖を──失いたくないんです」




そんな俺の懸命の訴えには、




「別れは、ちゃんと済ませておけ」


深い嘆息と、逃れようのない運命を突きつける言葉だけが返ってきた。
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