恋口の切りかた
奥への出仕が決まってから、留玖は再び自室で寝るようになっていた。


しかしその夜、

床(とこ)に入っても寝つけず、俺がぼう然としたまま天井を眺めていたら

音もなく襖が開いて、寝間着姿の留玖が幽霊のように立っていた。


彼女は黙って部屋の中に入ってきて、後ろ手に襖を閉めて


「留玖……」

俺が身を起こすと、

崩れ落ちるように駆け寄って俺の腕の中に飛び込んできた。


腕の中で、

俺にしがみついて、

彼女は声を押し殺して泣いた。


「留玖──」


俺は震えている彼女の肩を抱いて──


瞬間、


何も考えられなくなった。



無我夢中で彼女の唇を吸って、敷布の上に押し倒した。



今──

今ここで、俺のものにしてしまえば──
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