恋口の切りかた
言いながら、口にした言葉の空々しさに苦笑した。

そんなことが、互いに許されないことくらいわかっている。


「いいよ、私……エンとだったら──離ればなれになるくらいなら──」


留玖が俺の胸に顔を埋めて、こくこくと頷いて、


「ばか」


俺はその背中を優しくなでた。


駆け落ちも、心中も──家の罪になる。

俺と留玖が身分のない、ただの町人だったら可能だったかもしれないが……結城家があるのだ。


親父殿や母上、冬馬、雪丸、りつ殿──


そんな真似は許されない。


それに──


「お前を幸せにするって決めたんだ……ずっと……そう思って生きてきた……」


彼女の髪紐をほどいて、髪をなでる。


「お前を不幸にするような真似、できるかよ……」
< 1,872 / 2,446 >

この作品をシェア

pagetop