恋口の切りかた
俺は、黙ってやりとりを眺めていた金髪の元盗賊に視線を向けた。
「あんたは、知ってたのか?」
「まさか」
青文は笑った。
「十一年前には、晴蔵様が六郎太の子を生かして養子にしていたなど思いもしませんでしたよ。
ただ、薄々勘づいた──というところですねェ」
人心を読むことに長けた食えない男はそう言って、
俺は、
尼僧に化けた鵺の与一も、冬馬と会った時に火傷のあとや、養子になった時期に対して並々ならぬ関心を示し、「冬馬に気をつけろ」などと忠告してきたことを思い出した。
成る程な。
もともと闇鴉の一味だった与一ならば、当時の頭目である闇鴉の六郎太に子供がいたことも当然知っていただろう。
あいつも冬馬が兄弟のうちの一人だと、見抜いていたわけか。
「兄上、どうか私もお連れください!」
冬馬は俺に向かって必死の形相で言った。
「駄目だ」
俺は頭を振る。
「お前は結城家を継げ。
俺は、とうとう留玖を幸せにしてやることができなかったが──お前は家を継いで、風佳と幸せになれ」
俺の言葉に、冬馬は血が滲みそうなほど唇を噛みしめた。
「このまま私が結城家を継ぐことこそ、夜叉之助の思うツボです……!」
「あんたは、知ってたのか?」
「まさか」
青文は笑った。
「十一年前には、晴蔵様が六郎太の子を生かして養子にしていたなど思いもしませんでしたよ。
ただ、薄々勘づいた──というところですねェ」
人心を読むことに長けた食えない男はそう言って、
俺は、
尼僧に化けた鵺の与一も、冬馬と会った時に火傷のあとや、養子になった時期に対して並々ならぬ関心を示し、「冬馬に気をつけろ」などと忠告してきたことを思い出した。
成る程な。
もともと闇鴉の一味だった与一ならば、当時の頭目である闇鴉の六郎太に子供がいたことも当然知っていただろう。
あいつも冬馬が兄弟のうちの一人だと、見抜いていたわけか。
「兄上、どうか私もお連れください!」
冬馬は俺に向かって必死の形相で言った。
「駄目だ」
俺は頭を振る。
「お前は結城家を継げ。
俺は、とうとう留玖を幸せにしてやることができなかったが──お前は家を継いで、風佳と幸せになれ」
俺の言葉に、冬馬は血が滲みそうなほど唇を噛みしめた。
「このまま私が結城家を継ぐことこそ、夜叉之助の思うツボです……!」