恋口の切りかた
話を聞き終えて、
冬馬が蒼白になって押し黙り、
俺はあんぐりと口を開けた。
待てよ……
「それが真実なら──」
菊田水右衛門と交わした会話、あの気怠い瞳が蘇って──
「どうなってんだよ!?
どうして、菊田のオッサンは……」
「そこが、私にもよくわからなかったのですがね」
俺が口にしかけると、青文は肩をすくめて、
「秋山の死のおかげで、ようやく理解できた」
その緑色の双眸には何が見えているのか、青文はそんなことを呟いて、
「晴蔵様」と親父殿に頭を下げた。
「御子息が汚名を晴らし一矢報いるため、この私もご助力させていただきます」
「ふむ、何か糸口があるか」
「はい。死んだ秋山には──感謝せねばなりますまい」
「そうか……よろしく頼む」
親父殿は何も聞き返さず、青文にそう言って、
円士郎、と俺を真っ直ぐ見た。