恋口の切りかた
行方を眩ませていた円士郎が、どうして今この場に現れたのか

これまでどこでどうしていたのか


疑問は浮かんだけれど、

私はそれを尋ねることもできなくて、数ヶ月ぶりに目にした愛しい人の姿をただ見つめていた。


「やってくれたな。

だが今は──俺とてめェとどっちが曲者か、明かだよな」


後ろに下がって間合いを取った清十郎に向かって刀を構えて、円士郎は私と殿を庇うように前に立って、


その力強い声を聞きながら、
いつも私を守ってくれた背中が視界を塞ぐのを見て、

さっきまでの不安が嘘のように、私の胸には温かい安心感が広がった。



ああ……

エンだ、

大好きなエンだ──
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