恋口の切りかた
私の心はまたくじけそうになる。


「あんたは、あんたの弟を殺したおとっつぁんたちを殺したんでしょう?
だったら今度はあたしが、おとっつぁんを殺したあんたを殺す番だわ。

これは仇討ちよ。大人しく討たれなさい!」


おひさは高らかにそう言い放って、

私は唇を噛みしめた。


「……いいよ」


私は震える声で言った。


「おひさちゃんにとって、私は仇だもんね……おひさちゃんに殺されるんなら、仕方ないよ……」


「ふうん?」


おひさはせせら笑うような表情を見せた。


私は、刀を握る手に力を込めておひさにその切っ先を向ける。


「でも……私も黙って殺される気はないから……!

私はエンのところに行かなくちゃいけないから──
ここで死ぬわけにはいかないから──

おひさちゃんが私を殺そうとするなら、私も自分の命を守るために抵抗する」


「な……──」


おひさが絶句した。
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